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執筆者の写真Rulicapim

第三章80「プリムラ」

ソフィアが光とともに霞んでいく……。


「いままでありがとう。お姉ちゃん。

 私が消えるのは仕方ないことだから、

 悲しまないで。ずっと大好きだよ。」


「嫌だ!!消えるな!!

 お前まで失いたくない、ソフィア!!!!」


 プリムラは、それまで溜めてきた全ての魔力を行使し、

 イレッサ・リフリウムへ向けて魔法を発動した。

 その瞬間、環境の自動制御が追い付かないほどの衝撃と爆風が、

 雲を割き、海面へ大穴を空けるようにして直線状に走った。


 その速度は、光速を凌駕していた。

 爆発の規模は凄まじく、のちにその爆発は

 魔女プリムラによるものとして、

 世界中に知れ渡ったのだったーー。


 やがて、エネルギーは緩和し、ゆっくりと二人は静止した。

 イレッサ・リフリウムへ到着したのだ。


 暗闇と静寂の中、紫色の眩い光が輝いている。


 ーー聴こえるか、ソフィア……


 ーー見えているか、ソフィア……


 ーー返事をしてくれ……


 ーーお前が居なくなったら、私は、どうすれば良い……


 ソフィアが居たから、今まで生きてこられた。

 何よりも大切な家族であり、妹だった。

 それなのに、肝心な時に私はソフィアを守れなかった。

 私は今まで、何のために力をつけてきたのだ。

 何のために生まれたのだ。


 ーー私は絶対に諦めないーー。


 ーー絶対に、希望を捨てない。


「必ず、ソフィアを取り戻す。

 待っていてくれ、ソフィアーー」


 桃色だった髪の毛は、魔物の漆黒へと染まり、

 深紅の眼差しは真っ直ぐに地上へ向けられた。


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